はじめに|“全部直すのは難しい”からこそ、優先順位が大事
親の家のチェックリストを見て、
「全部大事だけど、何から手をつければいいのか…」
そう感じた方も多いと思います。
でも、すべてを一気に整える必要はありません。
実際、**“転倒や事故が起きやすい場所”**には傾向があります。
今回は、高齢者の転倒事故で多い3つの場所にしぼって、
「まずここから!」という視点で深掘りしていきます。
① お風呂・脱衣所|すべりやすく、立ち座り動作が多い
なぜ危険?
- タイル床は濡れると非常に滑りやすい
- 湯船からの立ち上がりはバランスを崩しやすい
- 脱衣所でのふらつき・冷えによる筋緊張も影響
改善アイデア
- 滑り止めマットや吸着マットを設置
- 浴槽内や出入り口にL字型手すりをつける
- 段差がある場合は浴槽台や踏み台を導入
一言アドバイス
「いざという時、つかまる場所があるだけで安心感が変わります」
② 玄関まわり|“出入りの瞬間”に転倒が多い
なぜ危険?
- 靴を履いたり脱いだりする動作でバランスを崩しやすい
- 段差があっても手すりがない家庭が多い
- 外との気温差で足元がこわばりやすい
改善アイデア
- 上がり框に手すり+**踏み台(ステップ台)**を設置
- 濡れた床にすべり止めマットを配置
- ベンチや腰掛け台を置いて靴の着脱を安定して行えるように
一言アドバイス
「帰宅時に“ホッとする玄関”が、実は一番の安全地帯になります」
③ トイレ・廊下|“夜間の移動”がとくに危ない
なぜ危険?
- 夜中にトイレへ行くとき、暗くて足元が見えにくい
- 廊下に段差や物が置かれていることも
- 眠気や血圧の変動でふらつきやすい時間帯
改善アイデア
- 足元を照らす人感センサー付きのナイトライトを設置
- 廊下やトイレ内に壁沿いの手すりを追加
- できればトイレ内に1本縦手すりを設置するのが安心
一言アドバイス
「暗い夜道じゃなく、暗い廊下こそ気をつけてあげてください」
まとめ|“どこを整えるか”より“どう整えるか”
3つの場所を挙げましたが、
大切なのは「何を置くか」だけではなく、
“誰がどこでどう動くのか”をイメージして整えること。
たとえば、
- 手すりの高さが合っているか
- すべり止めの位置が動線と合っているか
- 無理に片足立ちしなくても済む工夫があるか
そんな**「暮らしの中の動き」を一緒に考えることが、最大のプレゼント**になります。
次回予告|「変えたいけど変えられない…」親の心のハードルに寄り添う方法
次回は、親自身が「変えたほうがいい」と思っていても
「でも今のままでなんとかなってるし…」と
踏み出せない“心の壁”について考えます。
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