はじめに|60代から始めておきたい“転ばない体づくり”
年齢を重ねると、だんだんと身体のバランスや筋力に不安を感じる場面が増えてきます。
実際、高齢者の10人に1人が、1年のうちに転倒を経験しているとも言われています(厚生労働省:令和4年国民生活基礎調査より)。
これまで病院勤務で多くの高齢の方と関わってきましたが、転倒をきっかけに活動量が落ちてしまう方をたくさん見てきました。
一度動かなくなると、筋力が落ち、外出もしづらくなり、「生活が小さくなる」悪循環に陥ってしまうのです。
だからこそ、60代から「転ばない体」を意識して整えていくことがとても大切です。
1|足の筋力が落ちると、踏ん張りがきかなくなる
歩く・立ち上がる・段差を乗り越える…。
これら日常の動作は、太ももやお尻の筋肉が支えています。
- 立ち上がるときに「よいしょ」と声が出る
- 小さな段差でもつまずきそうになる
- 長く歩くと足がすぐに疲れる
こうした変化は、筋力低下のサインです。
2|バランス感覚の低下で“ふらつき”が増える
加齢により、目・耳・足裏の感覚が鈍くなってくると、バランスをとる力も落ちてきます。
- 片足立ちが数秒しかできない
- 後ろを振り向くとふらっとする
- よろけやすくなった
これらは、体のバランスを保つ機能が低下しているサイン。
筋力だけでなく、感覚や姿勢を保つ力も鍛えておく必要があります。
3|自宅でできる!簡単なセルフケアと運動
ここでは、60代の方でも無理なく始められる、シンプルで効果的な運動をご紹介します。
✅ 【椅子に座って】もも上げ運動
→ 太もも前の筋肉を鍛えて立ちやすく
- 背筋を伸ばして椅子に座る
- 片足をゆっくり持ち上げて3秒キープ
- 左右5〜10回ずつ、1〜2セットが目安
✅ 【つかまりながら】かかと上げ運動
→ ふくらはぎを鍛えてバランス感覚もUP
- テーブルや壁に手を添える
- ゆっくりかかとを上げて背伸びし、3秒キープ
- 10回×2セット、転ばないよう注意
✅ 【立って行う】横足上げ運動
→ 股関節周りの安定性UP/ふらつき予防に効果的
- 壁に手を添えて、片足を横に上げて3秒キープ
- 左右5回ずつ、動作はゆっくり
✅ 【最重要】スクワット(立ち座り運動)
→ 下半身の筋力強化/転ばない体づくりの基本
- 椅子の背もたれなどに手を添えて立つ
- 背筋を伸ばし、ゆっくり腰を落とす(膝が前に出すぎない)
- 浅めの動作でもOK!5〜10回を無理なく
4|「できる日だけ」で十分!習慣化がカギ
- テレビのCM中にやる
- 雨の日の家の中だけでやる
- 「今日もやっておこうか」くらいの気軽さでOK
毎日でなくても、“できる日だけ”続けることが効果につながります。
まとめ|60代から動ける体を守る準備を
転倒予防は、「環境の見直し」も大切ですが、
もっと大切なのは、自分の体を支える“土台”を整えておくことです。
✅ 筋力を落とさない
✅ バランス感覚を保つ
✅ 体の反応を鍛える
60代から意識して準備しておけば、
70代・80代になっても“自分の足で自由に動ける”体を守ることができます。
まずは今日、できるところから少しずつ始めてみましょう。
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