■ 靴の履き替え時が、実は“転びやすい瞬間”です
高齢の方にとって「靴を履き替える動作」は、何気ないようでいて転倒リスクが非常に高い動作のひとつです。
特にこんなシーンで転倒が起こりやすくなります。
🟡 例①:玄関で靴のかかとを踏んだまま歩き出し、前につんのめって転倒
家族が送迎に来て「早く乗って」と急かされたため、かかとがちゃんと入っていない状態で歩き出し、数歩でバランスを崩して転倒。
→足元が不安定な状態での歩き出しが危険。
🟡 例②:玄関で片足立ちになって靴を脱ごうとし、よろけて壁に手をついたが間に合わず転倒
「ちょっと脱ぐだけだから」と立ったまま脱ごうとしたら、足が浮いてフラついてしまい、そのままドンと尻もちに。
→靴の履き替え時は必ず“支え”や“座れる環境”が必要。
🟡 例③:病院での入院当日、スリッパに躓き、病室で転倒
普段は運動靴を履いている方が、病院で初めて柔らかいスリッパを履かされ、歩き始めで足がつっかかり転びそうに。
→慣れない靴・滑りやすい床との相性に注意。
こうしたケースは、実際に病院や介護施設、または在宅介護の現場で**頻繁に見られる“ヒヤリハット”**です。
「まさかこのタイミングで…」と思う瞬間こそ、しっかりと対策を立てておくべきです。
■ なぜ「履き替え動作」が危ないのか?
履き替え時に転倒が多い理由は、以下のような点にあります。
・片足立ちのバランスが不安定
靴を脱いだり履いたりする際、どうしても片足になる場面が出てきます。高齢になると、股関節や体幹の筋力が弱くなり、片足立ちが不安定になってきてしまいます。
・視線が下を向くため姿勢が崩れやすい
靴に手を伸ばすと視線が下がり、重心が前に移動してふらつくことがあります。
・足元の素材が滑りやすい・ひっかかりやすい
クロックスや柔らかいスリッパなどは、床の素材や段差によって“つっかかる”ことで転びやすくなります。
■ よくある転倒エピソード
私の現場経験でもこんなケースがありました:
- 入院初日に持参したスリッパで、歩いてて転倒
- 足元が浮腫んでいたため、大きめのスニーカーを選んだが、ブカブカで履いた瞬間に足がグラついた
- 靴を脱ごうとして片足で踏ん張ったが、バランスを崩して後ろに尻もち
どれも“ちょっとした動作”のようで、実際にはヒヤリとする場面です。
■ 対策①:座って履き替える工夫を
最も基本的で、確実な転倒予防が「座って靴を履き替える」ことです。
- 玄関にしっかりした椅子を用意
- 屈みにくい方には靴べらや靴装着補助具の活用
- 脱ぐときも座って片足ずつ落ち着いて
座れる環境があるだけで、転倒リスクはぐっと下がります。
■ 安全に履き替えるには、“座れる玄関環境”が必須!
玄関で靴を脱ぎ履きする際、「ちょっと立ったままでいいや…」という判断が転倒につながることも。
とくに片足立ちになる場面や、かかとを入れようと足を押し込む動作は、ふらつきやすい瞬間です。
そんな時におすすめなのが【玄関椅子】です。
高さがちょうどよく、手すり付きのタイプであれば、座ってから立ち上がる動作もぐっと安全になります。
以下のような商品は、靴の収納もできて玄関がスッキリするので非常に人気です。
↓↓↓
■ 対策②:滑りにくく安定した靴を選ぶ
履き替え時に使う靴そのものにも注意が必要です。
- かかとのある靴(スリッパNG)
- 脱ぎ履きしやすく、足にフィットするもの
- 屋内用でも足裏が滑りにくく、適度に硬い靴底
普段から使い慣れた運動靴など、安定性のある靴がおすすめです。
■ 履きやすさと安定感を両立した“スリッポン”もおすすめ!
入院中や在宅介護では、「さっと履けて脱げにくい靴」がとても重宝します。
たとえば、手を使わずにかかとがスッと入る【スリップイン構造】のスリッポンは、
高齢者だけでなく腰痛のある方、介助をする家族にとっても使いやすい選択肢です。
下記のようなスケッチャーズのスリッポンを履いている高齢者もよく見かけます。
実際、ABCマートなどの店頭でも取り扱いが多く、息子さんや娘さんがプレゼントとして一緒に買いに行くケースも増えています。
「見た目が若々しくて自然」「脱ぎ履きが本当に楽」と好評で、
いわゆる“介護靴”ではないけれど、結果的に介護の場面にもぴったりな一足です。
↓↓↓
■ 対策③:滑りにくい玄関マットや段差の見直し
靴だけでなく、履き替える場所そのものの整備も大切です。
- 滑りにくい素材のマットを敷く
- 玄関に段差があるなら手すりの設置も検討
- 「坂の終わりに平らな足場」を意識して、安心できる踏み替えスペースを
転倒は「足元のちょっとした違和感」から起こることが多いため、環境面の見直しが意外と効果的です。
「玄関にちょっと手すりがあれば安心なんだけど…」
そう感じたことはありませんか?
このパナソニックの玄関手すりは、置くだけで設置完了。
玄関の段差が大きくても対応でき、しっかり体を預けられる安心設計です。
実績のあるメーカー品で、
お父さん・お母さんの玄関まわりに1つあるだけで、転倒リスクが大きく減ります。
■ まとめ|“何気ない靴の履き替え”が安全に行える環境づくりを
靴の履き替えは、毎日の生活で何度も繰り返される動作。
しかし高齢者にとっては、そのひとつひとつが転倒の引き金にもなりえます。
「ただの靴の履き替え」ではなく、安全に立ち上がる・座って脱ぐ・滑りにくい靴を選ぶという視点がとても大切です。
コメント