「介護は突然始まる」――病院で働いていた私は、その現場を何度も見てきました。
ある日を境に親の病気が発覚し、子どもたちがパニック状態になる。そんな状況に、病院のスタッフとして寄り添いながらも、「もっと準備できていたら…」と思う場面も少なくありませんでした。
そんな私が今回手に取ったのが、ノンフィクションライター・旦木瑞穂(たんぎ・みずほ)さんの著書
『しなくてもいい介護』です。
タイトルに惹かれ、実際に読んでみたら、介護に対する備える考え方が変わりとてもヒントとなる一冊でした。

◆ 本書の特徴と魅力
- ✅ リアルな100近くの事例に基づいた知恵
- ✅ 「ダブルケア」当事者の体験を起点にした視点
- ✅ 「介護=子どもが背負うもの」という常識に揺さぶり
この本は、「親のために、すべてを抱え込まなければならない」というプレッシャーに悩む方にこそ読んでほしい内容でした。
◆ 印象に残った一節
高齢者に対する医療や介護サービスは手厚い。しかし、それを知らずに苦労をしていたり、損をしている人が少なくない。介護保険や健康保険、年金や住民税を納めてきたなら、利用できる社会的資源は利用しなければもったいない。お得な情報は自ら取りに行く姿勢が必要不可欠だ。(p.195)
この一文には深くうなずかされました。
「誰も教えてくれないけど、本当は支援がある」――その情報格差を埋めるための一冊でもあります。
◆ 実際に読んで感じたこと
私は医療現場で、介護について話し合えないまま家族が疲弊していく様子を何度も見てきました。
特に印象的だったのは、
- 親の経済状況が不明で混乱するケース
- 兄弟間で介護の方針にズレがあるケース
そうした「介護以外のストレス」をどう軽減できるか、本書は具体的に提案してくれます。
「うちの親はまだ元気だから大丈夫」
「元気なうちに介護のことを話すなんて気が引ける」
そう思っている方にこそ、先に読んでほしい一冊でした。
◆ この本をおすすめしたい人
- 👨👩👧 高齢の親をもつ40〜60代の方
- 😟 介護が不安だけど、何から始めていいかわからない方
- 🧍♂️🧍♀️ 兄弟間の介護温度差に悩む方
- 💼 離職や同居の決断に迷っている方
◆ 最後に
著者の言葉を借りれば、
「自分の人生は、自分を優先にしていい」
この当たり前のようで、つい後回しにしてしまう視点に、私は強く共感しました。
『しなくてもいい介護』は、「介護を楽にする知恵」と「心の準備」の両方をくれる一冊です。
今すぐ何か行動しなくても、この本を手元に置いておくだけでも十分。
全7章の構成は、介護が始まる前から、看取り、葬儀、その後まで。どこから読んでもヒントが詰まっており、今困っている人にも、まだ困っていない人にも刺さる内容です。
『FACTFULNESS』が世界を見る目をアップデートしてくれたなら、
『しなくていい介護』はあなたの家庭や介護観を見つめ直す一冊です。
大切なのは、「正しい知識」と「自分の人生を大切にする視点」。
社会の中で自分を守るために、ぜひ手に取ってみてください。
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