はじめに|滑って転ぶのは“ちょっとした油断”から
「お風呂上がりに足を滑らせた」「靴下でフローリングを歩いて転んだ」
そんな経験はありませんか?
高齢になると、ちょっとした水気や床の素材の違いでも、転倒につながることがあります。
今回は、滑りやすい床での転倒を防ぐための考え方と環境づくりのポイントをお伝えします。
1|浴室や脱衣所:水気+段差の組み合わせが危険
浴室は、高齢者の転倒事故が多い場所のひとつです。
- 床が濡れていて滑りやすい
- 石鹸やシャンプーで足元がぬるつく
- 出入り口に小さな段差がある
- 身体が温まりぼーっとして反応が遅れる
さらに脱衣所では、裸足や素足+タイル床の組み合わせが滑りやすく、着替え中にふらつくこともあります。
2|トイレ:狭くて動作が多い空間は意外と危ない
トイレ内は動作が多く、なおかつスペースが限られています。
- 立ち上がるときにふらつく
- 服の上げ下げでバランスを崩す
- 足元にマットやスリッパが絡む
床材が滑りやすい素材で、手すりなどの支えがない場合は、転倒リスクが一気に高まります。
3|フローリング:靴下やスリッパでの歩行に注意
自宅のフローリングも注意が必要です。
- 靴下で歩くと滑りやすい
- 乾燥している床は意外とつるつる
- スリッパの裏が擦り減っていると引っかかりやすい
「靴下のままで動けるのは楽」ですが、高齢になると足裏の感覚が鈍くなるため、転びやすくなってしまいます。
4|滑る場所は、事前に“気づいておく”ことが大切
転倒は「たまたま滑った」のではなく、環境と動作の“組み合わせ”で起きています。
- よく滑る場所を家族と共有する
- 水がこぼれやすい場所はマットを敷く
- スリッパやマットの劣化をこまめに確認する
**「起こってから対策する」のではなく、「起こる前に備える」**ことが、転倒予防の大切な一歩です。
他にも、次のような身近な場所が“滑りポイント”になりやすいです:
- 雨の日の玄関タイルや濡れた靴のまわり
- 台所で水や油が跳ねた床
- 洗面所で足元に水が残ったままになっている場所
- モップがけやワックス後の乾ききっていない床
- ペットの水飲み場や吸水シートの周囲
こうした場所は、毎日の中で無意識に通るルートになっていることも多いため、特に注意が必要です。
まとめ|身近な床ほど、安全に整える価値がある
滑りやすい床は、毎日使う場所に多く存在します。
だからこそ、
✅ 素足・靴下での歩行に注意する
✅ 滑りにくいマットや床材に変える
✅ 支えになる場所をつくる
といった日常に溶け込む対策が、転倒の大きな予防につながります。
次回予告|「段差のつまずき」をどう防ぐか?
次回は、「敷居」「マットの端」「部屋の切り替え」など、わずかな段差につまずく理由とその工夫について解説していきます。
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