はじめに|「ちょっとした段差」で転ぶことがあります
玄関の段差でつまずいたり、靴の脱ぎ履きの時にふらついたり…。
そんな小さな場面での転倒が、大きなケガにつながることが少なくありません。
私は病院でリハビリを担当していたとき、
「玄関で転んで骨折してしまった」という方を何人も見てきました。
今回は、高齢者が転びやすい玄関の動作と、その対策のポイントを解説します。
1|なぜ玄関で転びやすいのか?
高齢者にとって玄関が危険な理由は、大きく3つあります。
- ①段差の上り下りで足を上げきれない
→ 足が段差に引っかかりやすい - ②靴の脱ぎ履きで片足立ちになる
→ バランスを崩しやすい - ③支えが少ない・手をつく場所がない
→ 倒れそうになっても体を支えられない
「慣れている場所」だからこそ油断が生まれやすく、
体力やバランスが少し落ちただけでも、転倒につながってしまうのです。
2|段差を安全に乗り越えるには?
まずは段差の高さと体の動きのギャップを見直すことが大切です。
- 靴を履くとさらに足が上がりにくくなる
- 歩幅が小さくなり、段差をまたげない
- 少しでも床が滑ると足が空振りする
こうした状況では、段差の高さが10cmでも十分に危険になります。
3|靴の脱ぎ履きでふらつく理由
片足立ちになる動作は、年齢とともにバランスを保つのが難しくなります。
- かがんで靴を履こうとしたときに後方へ転倒
- 立ったまま片足で靴を脱ごうとしてよろける
- スリッパの脱げかけで歩こうとして転ぶ
体の柔軟性や反応速度の低下が影響して、ほんの一瞬の動作が事故につながることも。
4|支えがないと反応できないことも
玄関には手すりがないご家庭も多く、
「もし転びそうになった時、何もつかまるものがない」状況が生まれやすい場所です。
- ドアノブや壁にとっさに手を出す
- 靴箱に体重をかけて不安定になる
- 屈んだ姿勢から戻る時にふらつく
支えがないことが、転倒の直接的な原因になることもあります。
まとめ|“いつも通る場所”だからこそ、対策を
転倒は、玄関のような「毎日使う場所」で起こりやすいものです。
だからこそ、
✅ 足元を整えること
✅ 支えになる手すりや椅子を設けること
✅ 靴の選び方を見直すこと
といった身近な工夫が、大きな予防につながります。
次回予告|滑りやすい床での転倒を防ぐには?
次回は、「浴室や廊下など、滑りやすい床での転倒リスク」について解説していきます。
特に裸足や靴下で過ごす方に多い“足の滑り”とその対策に注目します。
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