車椅子クッションは「柔らかいほど良い」が間違いな理由|選び方を作業療法士が解説

「お尻が痛いと言うから、柔らかい座布団を敷いてあげた」——実はこれ、現場でよく見た逆効果のパターンです。車椅子のクッションは「柔らかいほど良い」は間違い。作業療法士として見てきた実例から、選び方を解説します。

目次

柔らかい座布団で、食事がしづらくなっていた方の話

普通の座布団を車椅子に敷いていた方がいました。柔らかすぎてお尻が沈み込み、骨盤が後ろに倒れた姿勢が強まって、食事が食べづらそうになっていたんです。硬めのクッションに変えて、足置き(フットサポート)の高さも合わせて調整したところ、座る姿勢が安定して食事がしやすくなりました。

柔らかいものは一瞬気持ちいいのですが、沈み込む分だけ姿勢が崩れます。姿勢が崩れると、一部分に体重が集中して、かえってお尻は痛くなる。この悪循環が「柔らかいほど良い」の落とし穴です。

選び方|作業療法士が見るポイント

1. 「適度な硬さ」が基本

体圧を分散しつつ、骨盤を立てて支えられる硬さが理想です。また、厚みのある低反発クッションは沈み込んで立ち上がりの負担が増えることがあります。「座り心地」と「立ちやすさ」は両方見てください。

2. 体の状態に合わせた形を

背中や腰が曲がっている方には、前が高くなった三角形(アンカー形状)のクッションで骨盤のずり落ちを防いだことがあります。形状選びは体の状態次第なので、迷ったら福祉用具の専門相談員かリハビリ職に一度見てもらうのが確実です。

3. クッションを変えたら、足置きの高さも必ず調整

見落とされがちな重要ポイントです。クッションの厚みが変わると、足置きの適正な高さも変わります。ここを直さないと、せっかくのクッションが台無しになります。車椅子選びの記事で書いた「足置きが合わず姿勢が崩れていた方」と同じ状態を、クッション交換で作ってしまうんです。

長時間座る方や、皮膚のトラブルが心配な方には、より本格的な体圧分散クッションもあります。福祉用具の担当者に相談したうえで検討してください。

お尻の痛みのサインは「モゾモゾ」に出ます

現場で痛みに気づくきっかけは、本人の訴えより先に「座り直しが増える」「モゾモゾとよく動く」ことでした。動けるうちは、体が自分で圧を逃がそうとするんです。

注意してほしいのは、自分で動けない・言葉で伝えられない方です。この場合はクッションだけに頼らず、座る時間を区切る・ベッドで休憩を挟むなど、環境ごと見直す必要があります。お尻や背中に赤みを見つけたら、早めに看護師やケアマネジャーに相談してください。

よくある質問

Q. クッションは介護保険で借りられますか?

車椅子をレンタルしている方なら、クッションも「車椅子の付属品」としてレンタルできる場合があります。体に合わせた選定までしてもらえるので、購入前にケアマネジャーか福祉用具事業者に確認するのがおすすめです。

Q. バスタオルを折って使うのはダメですか?

おすすめしません。一番の問題は「毎回同じ状態を作れない」ことです。折り方や置き方が日によって変わると、姿勢も日によって変わります。応急処置ならあり得ますが、毎日使うものは専用品にしてください。

まとめ

  • 「柔らかいほど良い」は間違い。骨盤を支える適度な硬さを
  • クッションを変えたら足置きの高さ調整をセットで
  • モゾモゾ動くのは痛みのサイン。動けない方は環境ごと見直しを

車椅子そのものの選び方はレンタルと購入どっちが得?失敗しない選び方の基本で解説しています。

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