食事の自助具おすすめ|すくいやすい食器と箸・スプーンの選び方を作業療法士が解説

手や腕が思うように動かなくなって、食事に介助が必要になる。本人にとってこれが、どれだけのストレスか——リハビリの現場で毎日感じていました。食べることは、1日3回ある「自分でできた」の機会です。この記事では、リハビリ室で実際に出番の多かった食事の自助具を紹介します。

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リハビリ室で一番出番が多かったのは「すくいやすい食器」

骨折などで腕に制限が出た方、麻痺のある方に、私が一番よく使ったのは内側に「返し」のついた食器です。ふちの内側がせり出していて、スプーンを縁に沿わせるだけで食べ物が自然に乗る。「すくう」という細かい動作を、お皿の形が肩代わりしてくれます。

あわせて定番なのが底に滑り止めのついた食器、または食器の下に敷く滑り止めマットです。片手で食べる方は、お皿が逃げるだけで食事になりません。「すくいやすい皿+滑り止め」は、リハビリ室のいわば基本セットでした。

小鉢タイプなら、いつもの食器に1つ足すだけで試せます。

スプーン・箸は「何に困っているか」で選び方が変わります

「箸で食べたい」と言う方はとても多いです。その気持ちは尊重したい。ただ、道具選びの前に見きわめたいことがあります。困りごとの正体が「握る力」なのか「指先の細かい動き」なのか「力加減」なのかで、合う道具がまったく違うからです。

  • 握る力が弱い → 柄が太いスプーン・フォーク(細い柄は握力が要ります)
  • 指先の動きが難しい → バネ付きで開く動作を助けてくれる箸
  • 手首が返しにくい → 首の角度が曲がったスプーン

現場でも、正解は人によって全部違いました。だから私たちは1つ渡して終わりではなく、いろいろ試してもらって決めていました。ご家庭でも「1つ買ってダメだったから自助具は合わない」と諦めず、タイプ違いを試してみてください。幸い、食事の自助具はどれも数百〜数千円です。

持ち運びを重視するなら、クリップで普通の箸に取り付けるタイプもあります。外食のときに便利です。

「自分で食べられる」が守るもの

食事介助は、する側も大変ですが、される側のストレスはそれ以上です。食べたい順番、口に運ぶペース、一口の量——介助では全部、人任せになります。道具で「自分で食べる」を取り戻すことは、栄養の話ではなく、その人の1日の主導権を取り戻す話なんです。

作る側がつらいときは、食事そのものを外注していい

自助具は「食べる」を助ける道具ですが、その手前の「作る」でつまずいているご家庭も多いです。とくに持病があって塩分やたんぱく質の制限がある場合、毎食の献立づくりは想像以上の負担になります。

病院では管理栄養士が計算していた食事を、退院後はご家族が担うことになる——ここで疲れ果ててしまう方を、私は何度も見てきました。制限食は「気をつける」で乗り切れるものではなく、知識と手間の両方が要ります。

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よくある質問

Q. 本人が「こんな道具は嫌だ」と使ってくれません

見た目が「介護用品」らしいものほど嫌がられます。最近は普通の食器に見えるデザインの自助食器が増えているので、「介護用」ではなく「使いやすい食器に変えた」という渡し方をしてみてください。家族と同じ食卓で浮かないことが、続けてもらう条件です。

Q. どこまで自分でやらせて、どこから手伝うべき?

「最初の10分は見守り、疲れが見えたら残りを介助」のような時間の分担が現実的です。全部自分で食べ切れなくても、「最初は自分で食べた」という事実が本人の尊厳を守ります。疲れて食事量が落ちるのは本末転倒なので、無理のない線引きをしてください。

まとめ

  • 基本セットは「内側に返しのある皿+滑り止め」
  • スプーン・箸は「握力・指先・力加減」のどれに困っているかで選ぶ
  • 1つ試してダメでも諦めない。正解は人によって違う

台所仕事をラクにする工夫はキッチン作業を楽にする記事、握力や立ち上がりの衰えが気になる方は椅子から立ち上がれない原因と対策もあわせてどうぞ。

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