「親に歩きやすい靴を買ってあげたいけど、種類が多すぎて何を選べばいいか分からない」
——そんなとき、私がリハビリ現場で15年間ご家族にお伝えしてきた いちばん確実な判断基準 は、シンプルに「病院やリハビリ施設で実際に使われている靴を選ぶ」ことです。
病院で使われているということは、理学療法士・作業療法士・看護師が日々観察して、転倒や歩行のトラブルが起きにくいと判断している証拠。マーケティングや広告ではなく、現場の蓄積で選ばれた靴です。
この記事では、私が現場で何百回も勧めてきた 3つの定番シューズ と、失敗しない選び方のチェックリスト を、作業療法士の視点でまとめます。
なぜ病院で「この靴」が選ばれているのか|OT視点での5つの理由
病院・施設で繰り返し選ばれる介護シューズには、共通する5つの条件 があります。これはリハビリ職が日々の歩行訓練の中で観察して、自然と絞られていった条件です。
- 片手で履ける(マジックテープ式):脳卒中後の片麻痺、リウマチで指が動きづらい方でも、自力で履ける構造。
- つま先が上がっている(トゥアップ構造):すり足歩行になっている高齢者がつまずきにくい設計。
- かかとがしっかりホールド:歩行中の足の “抜け” を防ぎ、安定した重心移動を支える。
- 左右非対称ソール:内側と外側で形が違い、自然な歩行パターン(踏み返し)を促す。
- 幅広(3E〜)でゆとりがある:むくみ、外反母趾、装具を入れる場合にも対応。
この5条件を満たしている代表格が、これからご紹介する3つの靴です。
病院で選ばれる定番シューズ3足|現場で実際に勧めてきた選択肢
① 快歩主義 L011|まず1足試したい外出兼用の定番
リハビリ病院、通所リハビリ、施設で本当によく見かけるアサヒシューズの代表モデル。女性用の標準的な選択肢として最初におすすめできる一足です。
こんな方におすすめ:
- 普段の外出と通院、両方で使える靴を1足だけ買いたい
- まず “標準の介護シューズ” がどんなものか知りたい
- 本人が「介護っぽくないデザイン」を望んでいる
特徴:
- 軽量設計で足取りが軽くなる
- 3Eの幅広サイズで、外反母趾やむくみにも対応
- 面ファスナー式で脱ぎ履きがしやすい
- つまずきにくいトゥアップ構造
- 左右非対称ソールで歩行のバランスをサポート
- カラーバリエーション豊富(プレゼントでも喜ばれる)
② あゆみ ダブルマジック3|むくみが強い方への第一選択
足のむくみで普通の介護シューズが入らない方への定番。3E〜9Eまでサイズ展開があり、徳武産業の長年のロングセラー製品です。
こんな方におすすめ:
- 足のむくみで靴がきつくなってきた
- 介護施設や訪問リハビリで「もう少し幅広い靴を」と言われた
- 心不全・腎機能低下などで日内のむくみ変動がある
特徴:
- 9Eまでの圧倒的な幅広対応
- ダブルマジック(2本ベルト)で甲の高さも細かく調整可能
- 左右別サイズで購入できる(左右で足の大きさが違う方に対応)
- 軽量で長時間の歩行でも疲れにくい
▶ もっと詳しく:[むくんだ足に合う靴|9Eまで対応する介護シューズ]
③ 竹虎 入院サポートシューズ|入院・施設入所が控えている方へ
竹虎は介護リハビリ業界の老舗メーカーで、全国の病院・施設で長年採用されている定番。
入院サポートシューズは、急な入院に必要な機能を抑えた一足です。
こんな方におすすめ:
- 近く入院予定がある/家族の入院に備えたい
- 施設入所の準備品リストに「履きやすい靴」とある
- 病室・廊下・リハビリ室を歩き回るのに適した靴が必要
特徴:
- 院内専用としてリハビリ療法士からの推奨実績多数
- 着脱が極めて簡単(看護師さんやご家族の介助負担を減らす)
- 軽量・滑りにくい・床を傷つけにくい
- 22.0〜28.0cmの幅広サイズで男女兼用
▶ もっと詳しく:[入院時の靴選びで失敗しないために|家族が選びがちな”ダメな靴”と正しい選び方]
家族が買う前にチェックしたい5項目
ご家族が買う場合は、本人の足を測って・連れて行ってから 買うのが理想ですが、難しい場合は次の5項目を確認するだけで失敗が大きく減ります。
- 足のサイズ:朝より夕方の方が大きい。夕方サイズ+0.5cm で選ぶ
- 足幅:3Eが標準。むくみがある場合は4E〜9E
- 本人が今履いている靴を持参して比較(買う前に並べてみる)
- 本人が「これがいい」と言える色を1つは入れる(履く意欲が変わる)
- 試し履きで5分歩いてもらう(買って帰る前に必ず)
「歩きやすそう」だけで買って履いてもらえなかった、というご家族からの相談は本当に多いです。
選ぶ過程に本人を巻き込む のが続けて履いてもらうコツです。
まとめ|今日からできる3ステップ
靴選びに「絶対の正解」はありませんが、病院で選ばれている定番から始めれば失敗の確率は大きく下がります。
今日からできる3ステップ:
- 本人の今の靴を1枚写真に撮る(サイズ・幅・痛みポイントの記録)
- このページの 3つの定番から、外出用・むくみ対応・入院準備で必要なものを1つ選ぶ
- 届いたら必ず 夕方の時間帯 に試し履きしてもらう
「歩きやすい靴」は、転倒予防の最初の1歩であり、本人の外出意欲を取り戻す道具でもあります。ご家族の関わりが、その第一歩を支えます。
この記事は「高齢者の足元を整えるガイド」の一部としてご紹介しています。靴選びから玄関動作まで足元全体の見直し方を知りたい方は、柱記事もあわせてご覧ください。


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