高齢者の踏み台昇降は1日何回が目安?|安全な高さとやり方を作業療法士が解説

「踏み台昇降を始めたい。でも、1日何回やればいいのか分からない」——この記事は、その疑問に数字でお答えします。

先に結論です。最初は「10cmくらいの台で、10回×2セット」から。物足りないと感じるくらいが、ちょうどいいスタートです。

目次

体力別|回数と高さの目安

病院とデイサービスで15年、高齢の方の運動を見てきた経験から、目安を3段階にまとめました。

今の状態台の高さ回数頻度
久しぶりの運動。足腰に不安がある10cm5〜10回×2セット週3〜4日
ふだんの歩行は問題ない10〜15cm10回×2〜3セット週4〜5日
体力に自信がある15〜20cm10〜15回×3セットほぼ毎日でも可

※1回=「右足で上がる→左足で上がる→右足で降りる→左足で降りる」の1往復です。

セットの間は1〜2分休んでください。終わったあと「ややきつい」と感じ、翌日に疲れが残らない。この2つを満たしていれば、その量が今のあなたの正解です。

「回数を目標にする」と失敗しやすい理由

実は、回数をきっちり守ることより大事なことがあります。疲れたら回数の途中でもやめることです。

理由は、疲れると足の上がり方が変わるからです。踏み台昇降で最初に疲れるのは、太ももを持ち上げる筋肉です。ここが疲れると、自分では足を上げているつもりでも、つま先が数センチ低くなります。その結果、つま先が台のふちに引っかかる。私が病院で聞いてきた「運動中に転んだ」話の多くは、開始直後ではなく疲れてきた終盤に起きています。

だから「今日は20回やると決めたから」とがんばるより、「足が重くなってきたな」で切り上げるほうが安全で、効果も落ちません。

始める前に整えたい3つのこと

1. 台は「滑り止め付き」のものを

雑誌を重ねた台や、ブロックの流用は避けてください。ずれた瞬間に転倒につながります。エクササイズ用の踏み台なら高さ調整もできて安心です。階段の1段目を使う方法もあります。その場合は手すりのある側で行ってください。

2. 場所は「壁か手すりのそば」で

ふらついたとき、とっさにつかまれる物が手の届く範囲にあること。これだけで安全性が大きく変わります。

3. 靴は「かかとのある室内履き」を

スリッパは脱げやすく、台の上で滑ります。かかとまで覆われた室内履きがおすすめです。詳しくは室内では”かかと付き”が安全な理由で解説しています。

安全な昇り降りのコツは「降りるとき」にあります

昇るときより、降りるときのほうが転びやすい。これは筋肉の働き方が理由です。降りる動作では、太ももの筋肉が「ブレーキ」として働きます。このブレーキは疲れの影響を受けやすく、雑になりやすいのです。

  • 降りるときこそ、ゆっくり。「トン」ではなく「ト〜ン」と着地する
  • 先に踏み出す足を、ときどき左右で交代する(片側だけに疲れをためない)
  • 数を声に出して数える(呼吸が止まるのを防げます)

こんなサインが出たら、その日は終了

  • 膝に痛みが出た → 台が高すぎるサインです。次回は低い台に変えてください
  • 強い息切れ・胸の苦しさ → すぐ中止し、続くようなら受診を
  • つま先が台に引っかかりはじめた → 足を上げる筋肉が疲れた合図。今日はここまで

サインが出るのは悪いことではありません。「やめどきを教えてくれた」と考えて大丈夫です。

続けるコツは「回数を増やさない」こと

意外に思われるかもしれませんが、順調な人ほど回数を増やしすぎて、膝を痛めて中断します。増やすのは月に1段階まで。「10回×2セット」を1か月続けられたら「10回×3セット」へ。この速さで十分です。筋肉は、休んでいる日に強くなります。

テレビの前に台を置いておく、歯磨きのあとにやると決める。場所と時間をセットにすると、意志の力に頼らず続けられますよ。

まとめ|物足りないくらいから始めましょう

  • 最初は10cmの台で10回×2セット、週3〜4日から
  • 回数より「翌日に疲れが残らないこと」を守る
  • 降りるときこそゆっくり。疲れたら途中でもやめてよい

踏み台昇降のほかにも自宅でできる運動を知りたい方は、最近、足腰が弱ってきたと感じる高齢者へ|自宅でできる簡単な運動もあわせてどうぞ。

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