旅行や帰省のために車椅子を買うなら、見るべきスペックは1つに絞れます。「その車椅子、車に積めますか?」です。座り心地でも価格でもありません。積めない車椅子は、玄関に置いたままになります。
重さの分かれ目は「6〜9kg」か「10〜15kg」か
車椅子の重さは、大きく2つの層に分かれます。
| タイプ | 重さの目安 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 軽量タイプ | 6〜9kg台 | 旅行・帰省・たまの外出(車への積み下ろしが多い) |
| 標準タイプ | 10〜15kg | 通院・近所の散歩(積む機会が少ない) |
数字だけ見ると「たった4〜6kgの差」です。でも、この差が効いてくるのは腰の高さまで持ち上げるときです。トランクの縁は思ったより高い。そこへ体をひねりながら持ち上げる動作を、1回の旅行で往復4回、休憩のたびに繰り返す——そう考えると、6kg台と14kgはまったく別の道具になります。
介助するご家族自身の腰も、守るべき対象です。「本人が乗るときの快適さ」と同じくらい「家族が運ぶときの負担」を天秤にかけてください。
軽自動車に積めるか|確認すべき3つの数字
軽自動車をお使いなら、購入前に必ず確認してほしいことがあります。折りたたんだ状態のサイズです。カタログには「折りたたみ時:幅◯cm×奥行◯cm×高さ◯cm」と必ず記載があります。
- トランク開口部の高さ:軽自動車は開口部が狭く、折りたたんだ車椅子の「高さ」がつかえることがあります
- 後部座席の横幅:トランクに入らない場合、後部座席に横向きで載せる方法が現実的です
- 背もたれが折れるか(背折れ式):折りたたんだうえに背もたれが前に倒れる構造だと、高さが一気に下がって積みやすくなります
特に3つ目の「背折れ式」かどうかは、軽自動車ユーザーには決定的な差になります。同じ重さでも、背もたれが倒れるかどうかで積みやすさが変わります。商品ページで「背折れ」「背折れ式」の記載を探してください。
旅行で使うなら、あわせて確認したいこと
タイヤの大きさと段差
軽量タイプは後輪が小さいものが多く、そのぶん段差や砂利道に弱いという弱点があります。観光地の石畳や砂利の参道を歩く予定があるなら、前輪(キャスター)が小さすぎないものを選んでください。前輪が小さいほど、わずかな溝で止まります。
不整地での歩行・移動の注意点は砂利道で転ばない歩き方と靴の条件でも触れています。
長時間座るなら、クッションもセットで
旅行は、家にいる日より座っている時間が長くなります。軽量タイプはシートが薄いものが多いため、お尻の痛みが出やすい。本体だけでなくクッションもセットで考えてください。選び方は車椅子クッションの記事で解説しています(「柔らかいほど良い」は間違いです)。
代表的な1台|軽量折りたたみ介助式
6〜7kg台の軽量タイプなら、体格差のあるご家族でも車への積み下ろしが無理なくできます。旅行や帰省など、車に乗せる機会が多い方に向いた1台です。
Nice Way 4(ナイスウェイ4)|軽量折りたたみ介助式
重量9kg・耐荷重80kg・座面幅40cm。ノーパンクタイヤで空気圧の管理が不要、専用の収納袋つきで車や電車・飛行機への持ち込みもしやすい1台です。介助ブレーキにロック機能がついています。
よくある質問
Q. 年に数回しか使いません。買うべきですか?
使用頻度が低いなら、自費レンタルという選択肢があります。旅行の期間だけ借りられる事業者もありますし、自治体や社会福祉協議会が短期の貸し出しをしていることもあります。ただ、年に数回でも数年使うなら購入のほうが安くつくことが多いです。レンタルの料金と手続きで比較してみてください。
Q. 飛行機や新幹線でも使えますか?
使えますが、事前連絡が前提です。航空会社は搭乗前の申告で車椅子の預かりや機内用車椅子の手配をしてくれますし、新幹線には車椅子スペースのある座席があります。どちらも早めの予約が必要なので、旅行が決まった時点で問い合わせてください。
Q. 軽いと不安定で危なくないですか?
体重を支える強度は基準を満たしていますが、軽い車体は本人が乗り移るときに動きやすいのは事実です。乗り降りのときは必ず両側のブレーキをかける。この一手間だけは省略しないでください。軽量タイプを選ぶなら、家族全員でこのルールを共有しておくと安心です。
まとめ
- 旅行・帰省用なら6〜9kg台の軽量タイプ。家族の腰も守る条件です
- 軽自動車なら「背折れ式」かどうかが決定的。折りたたみ時のサイズを必ず確認
- 軽さと引き換えに段差に弱くなる。観光地の路面と、クッションもセットで考える
車椅子選びの全体像は親に車椅子を買ってあげたい家族へ、買うか借りるかの判断はレンタルと購入どっちが得?をどうぞ。


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